大判例

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仙台高等裁判所秋田支部 昭和29年(う)30号 判決

原判決は第一の三の事実について、山林立木を「雄勝郡三梨村飯田字女長子内、同男長子内所在男長子山、女長子山および大前森北平の松立木」と判示している。

しかるに立木売渡書(証第十三号の一)には山林所在地として「秋田県雄勝郡川連町大字大館字女長子男長子」と記載され、契約書(証第十三号の二)には「秋田県雄勝郡川連町大字大館字女長子、男長子」と記載され、松坑木売渡及造出材契約証(証第十四号)には「雄勝郡川連町オテフシ山メテフシ山」と記載され、佐川政雄より被告人宛の封書(証第十五号の一、二)には「川連山」と表示されていることは所論のとおりである。また所論援用の各証人の証言にも「常磐炭砿で被告人から川連町の女長子山、男長子山の松立木を買つた」という趣旨の供述部分があることは相違ない。古沢弁護人は原判決の山林立木の所在地は三梨村か川連町(村)か不明であつてこれを明らかにしない原審には審理を尽さない違法があると主張するのであるが、証人阿部末吉(原審第七回公判調書の記載)が述べているようにまた原判決が表示しているように、右山林立木のあつた区域は三梨村に所属するのである。元来行政区劃上ある地域がどの市町村に属するかはその地方における公知の事実に属し、したがつて所轄第一審裁判所(秋田県雄勝郡は原裁判所の管轄区域内にある)において判つている事項であつて、このような事項は証拠調により明らかにする必要がないと解する。所論援用の書類ないし証言においてこの区域を川連町(村)に属するように表現されたのは俗称を表示したのか、或いは誤つて表現したと認めるを相当とし、原審には所論のような審理を尽さない違法はない。

(裁判長裁判官 中兼謙吉 裁判官 西田賢次郎 裁判官 浜辺信義)

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